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中国のライブコマースに対し規制を強化 ~その2~

  • 2020年8月6日
  • 2020年8月6日
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この規定の前文では、ライブコマースに従事する各種主体に対し行動ガイドラインの提供に重点を置くことを明らかにしています。ライブではない動画によるマーケティングは、「中華人民共和国広告法」の規定が適用されますが、その他のマーケティング活動に属する場合は本規定を遵守する必要があります。

規定文の日本語訳

太字下線部分は特に重要な箇所です。

第一条 良好な市場消費環境を構築し、ライブコマースを更に規範化し、本業態の健全な発展を促進する。
“中華人民共和国電子商取引法”“中華人民共和国消費者権益保護法”“中華人民共和国広告法”“中華人民共和国製品品質法”“中華人民共和国反不正競争法”などの法律、法規、規則と関連規定に基づいて、本行為規範を制定する。第二条 本規定は、業者、キャスターなどの参加者が、電子商取引プラットフォーム、コンテンツプラットフォーム、ソーシャルプラットフォームなどのオンラインプラットフォーム上において、ライブ配信形式でユーザーに商品を販売したりサービスを提供したりするネットライブ配信マーケティング活動に適用する。

第三条 ライブコマースは国家の法律、法規を真剣に遵守し、正確なガイド、誠実な信用、情報の真実、公平な競争原則を堅持すべきであり、活動内容は社会主義精神文明の建設と中華民族の優秀な伝統文化の発揚の要求に符合する。
ライブコマースプラットフォームの経営者が積極的に業界の自律に参加することを奨励し、共同でネット生放送マーケティング活動の社会共同治を推進する。

発信が禁止される9項目

第四条 ライブコマースにおいて発信される情報には、以下のものが含まれてはならない。
(一)憲法で定められた基本原則及び国家法律·法規の禁止規定に違反している内容。
(二)国家主権、統一、領土保全を損なうもの。
(三)国家の安全に危害を加え、国家の秘密を漏洩し、国家の栄誉と利益を損なう内容。
(四)民族、人種、宗教、性差別を含むもの。
(五)デマを流すなど、社会秩序を乱し、社会の安定を破壊する内容。
(六)猥褻、ポルノ、賭博、迷信、恐怖、暴力、あるいは犯罪を教唆する内容。
(七)侮辱、誹謗、脅迫、他人のプライバシー等に関わる他人の合法的な権益を侵害する内容。
(八)未成年者の心身の健康に危害を及ぼす内容。
(九)その他社会公徳又は民族の優れた文化伝統に危害を及ぼす内容。

ライブコマースに従事する者の義務

第五条 ライブコマース全般として真実、正確に商品或いはサービスに関する情報を開示し、法に基づいて消費者の知る権利と選択権を保障しなければならない。製品責任を厳格に履行し、製品とサービス品質を厳しく管理すべきである。法に基づき、契約に従い積極的に販売後の約束を実行し、健全な消費者保護メカニズムを構築し、消費者の合法的な権益を保護すべきである。

第六条 ライブコマースの主体は信用取引を原則とし、スクランブル等のアクセス量偽造方式を利用して取引データとユーザ評価を架空又は改ざんしてはならない。虚偽又は誤解を招く商業宣伝を行ってはならず、消費者をだまし、誤解させてはならない。広告を配信する場合は、“中華人民共和国広告法”の各規定を厳格に遵守すべきである。

第七条 ライブコマース主体は、法律に基づいてネットワークセキュリティと個人情報保護等の義務を履行し、ユーザの個人情報を収集、使用する際は法律、行政法規等の関連規定を遵守しなければならない。

第八条 ライブコマース主体は、法律と商業道徳を遵守し、市場競争に対し公平に参加しなければならない。法律規定に違反して、市場競争秩序を乱し、他の経営者又は消費者の合法的権益を損なう行為に従事してはならない。

第九条 ライブコマース主体は、知的財産権保護メカニズムを健全化し、他人の知的財産権又は第三者に関連する商業秘密及びその他の独自の権利を尊重し、保護しなければならない。

第十条 ライブコマース主体の間では、法律に基づいて又はプラットフォーム規則に従って契約を締結し、それぞれの権利義務を明確にしなければならない。

第十一条 ライブコマース主体は未成年者に対する保護メカニズムを完備し、未成年者の心身健康の保護を重視しなければならない。

販売業者の義務

第十二条 販売事業体は、ライブコマースにおいて商品を販売又はサービスを提供する商業主体である。業者は提供した商品或いはサービスに相応する資質、許可を持ち、明朗に経営しなければならない。

第十三条 業者がライブコマースに参画する際には、有効な身分証明、連絡先、関連行政許可などの情報を提供し、情報に変更があれば、適時に更新し、プラットフォームに審査を行うことを通知しなければならない。

第十四条 業者が販売する商品又は提供するサービスは合法でなければならず、ライブコマースプラットフォーム規則の規定に適合し、違法違法商品、サービスを販売、提供してはならず、プラットフォーム及びいかなる第三者の合法的権益を侵害してはならない。

第十五条 業者が販売する商品又は提供するサービスは、関連法律法規による商品の品質と使用安全に対する要求に適合し、使用性能に適合し、基準の採用や承諾等を宣言し、人身又は財産の安全を脅かす不合理なリスクが存在してはならない。業者が薬品、医療機器、保健食品、特殊医学用途調合食品などの特殊な商品を販売する場合、法律に基づいて相応の資質或いは行政許可を取得しなければならない。

第十六条 ライブコマースプラットフォーム規則上で、業者に対し真実、合法、有効な商標登録証明、ブランド特許経営証明、ブランド販売許可証明等の書類を提供することを要求しなければならない。

第十七条 業者が発表した製品·サービス情報は、真実、科学的、正確でなければならず、虚偽の宣伝を行い、消費者をだまし、誤認させてはならない。製品、サービス標準に関連するものは、関連国家標準、業界団体標準と一致し、消費者の知る権利を保障しなければならない。業者が商品やサービスを発信する際、その行為が商業広告に属する場合は、“中華人民共和国広告法”の各規定に適合しなければならない。

第十八条 業者は、法に基づいて消費者の合法的な権益を保障し、自らの約束を積極的に履行し、法に基づいて返品交換保障等のアフターサービスを提供しなければなら。業者とライバーの間で約束された責任分担内容や方式などは、法律、法規の規定を遵守し、プラットフォームの規則に従わなければならない。

ライバー(発信者)の義務

第十九条 ライバーとは、ライブコマース活動においてユーザと直接交流する者をいう。

第二十条 ライバーは、ライブコマースに関する基本的な知識を理解し、一定の専門技能を身につけ、法律意識を確立しなければならない。ライバー本人はライブコマースプラットフォーム上で発信する際、真実で有効な個人身分、連絡先などの情報を提供しなければならず、情報に変更があれば、適時に更新が必要である。また、法律、法規、国家の関連規定に違反して、その登録アカウントを他人に譲渡したり、貸し出したりしてはならない。

第二十一条 ライバーは、ライブコマースプラットフォームを利用する際には実名認証を行わなければならない。アカウント上の表示では、法律法規の要求に適合するニックネーム又はその他の名称を使用することができる。ライバーがアカウントを設定する際、使用する顔写真とアイコンは法律と国家の関連規定に符合すべきであり、違法及び不良有害情報を含んではならない。

第二十二条 ライバーが発信、生放送をする場所は、法律、法規及びライブコマースプラットフォームの規則の要求に適合しなければならず、以下の場所で生放送を行ってはならない。
(一)国家及び公共の安全に関する場所。
(二)社会の正常な生産、生活秩序に影響を与える場所。
(三)他人の正常な生活に影響を与える場所。
放送間の設置·展示は商業広告に属するものは、“中華人民共和国広告法”の規定に適合しなければならない。

第二十三条 ライバーは生放送において社会主義の核心価値観を堅持し、社会公徳を遵守すべきであり、以下の言動を含んではならない。
(一)ユーザーの低俗な雰囲気を促進し、場内の低俗な相互作用を誘導する。
(二)性的暗示、性的挑発、低俗な趣向を持つ言動。
(三)攻撃、中傷、侮辱、悪口、他人に嫌がらせをするなどの言動。
(4)生放送中に喫煙したり、タバコ製品(電子タバコを含む)を宣伝する言動。
(5)内容が荒唐無稽で挑発的であり、他人の模倣を招きやすい危険な行為。
(六)他の社会主義核心価値観や社会公徳に違反する行為。

第二十四条 ライバーが発表した商品、サービス内容と商品、サービスリンクとは一致し、かつリアルタイムで有効でなければならない。法律、法規は消費者の生命安全に直接関係する重要な消費情報を明示する必要があり、利用者に対して必要、明確な消費提示を行なわなければならない。

第二十五条 ライバーは、生放送活動において、情報の真実、合法を保証しなければならず、商品及びサービスに対して虚偽の宣伝を行い、消費者をだまし、誘導してはならない。

第二十六条 ライバーが生放送活動中に承諾したものは、法律法規を遵守し、プラットフォーム規則に従い、業者との契約を遵守し、消費者の合法的権益を保障するとともに、利用者間でのチャット内容においても相互言論規範管理を履行しなければならない。

第二十七条 ライバーは、ライブコマース活動において、業者、ライブコマースプラットフォームの合法的な利益を損害してはならず、いかなる形でも利用者の私的な取引を誘導し、又は他の不正な利益を図る行為に従事してはならない。

第二十八条 ライバーが事業体、ライブコマースプラットフォーム等に提供するマーケティングデータは真実でなければならず、いかなる形式でもアクセス量等のデータ偽造を行ってはならず、虚偽購入及び事後返品等の方法で業者の手数料をだまし取ってはならない。

第二十九条 ライバーがライバー管理会社名で生放送活動を行う場合、管理会社は、自社と契約したライバーのライブコマース上の全行為に責任を負わなければならない。

プラットフォームの責任

第三十条 ライブコマースプラットフォームとは、その活動において生放送技術サービスを提供する各種プラットフォームであり、Eコマースプラットフォーム、コンテンツプラットフォーム、社交プラットフォームなどを含む。

第三十一条 ライブコマースプラットフォーム経営者は法に基づいて経営し、消費者権益保護、知的財産権保護、ネットワーク安全と個人情報保護などの義務を履行しなければならない。当プラットフォーム経営者が業界標準化、業界訓練、業界発展品質評価などの業界自律公共サービス建設に積極的に参加することを奨励、支持する。

第三十二条 ライブコマースプラットフォーム経営者は、本プラットフォームに参画した主体に対し身分或いは資質証明などの情報を提出し、ファイルを登録し、構築することを要求しなければならない。販売業者、ライバーから通知された変更情報は、適時に審査、変更しなければならない。

第三十三条 ライブコマースプラットフォーム経営者は、以下の点でプラットフォーム規則を確立、健全化し、実行しなければならない。

(一)入居主体サービスプロトコルと規則を確立し、ネットワーク中継マーケティング行為規範、消費者権益保護、知的財産権保護などの方面の権利と義務を明確にする。
(二)本プラットフォーム内で販売を禁止する商品又はサービスカタログ及びその規則を作成する。
(三)業者、キャスターの信用評価賞罰などの信用管理システムを構築し、業者、キャスターのコンプライアンス意識を強化する。
(四)商品とサービス取引情報保存制度を完備し、法に基づいてネットライブマーケティング取引関連内容を保存する。
(五)プラットフォーム間の争議処理接続メカニズムを完備し、法に基づいて消費者のために情報支援を行い、消費者の合法的権益の維持に積極的に協力する。
(六)健全な知的財産権保護規則を確立し、知的財産権苦情処理メカニズムを完備する。
(七)便利な苦情、通報メカニズムを構築し、苦情、通報方式などの情報を公開し、適時に苦情、通報を処理する。
(八)インターネットライブマーケティング活動の健全な発展に有利な他のルール。

第三十四条 ライブコマースプラットフォーム経営者は以下の方面でサービス規範を強化し、サービスレベルの向上に努力し、業界の健康発展を促進しなければならない。
(一)法律法規を遵守し、正しい方向を堅持する。
(二)様々なプラットフォーム規則の確立と実行。
(三)本プラットフォームの生放送マーケティングコンテンツの生態審査とコンテンツセキュリティ管理を強化する。
(四)キャスターの参入とマーケティング行為を規範化し、キャスターに対する教育訓練と管理を強化する。
(五)本プラットフォームで禁止されているマーケティング行為、及び違法、不良などのマーケティング情報に対する処分メカニズムを明確にする。
(六)法に基づいて関係部門の監督検査に協力し、必要な資料とデータを提供する。

第三十五条 Eコマースプラットフォーム類のネットワーク中継マーケティングプラットフォーム経営者は、本プラットフォーム内に入居する業者主体の資質規範を強化し、業者が法に基づいて営業許可証、その経営業務に関連する行政許可などの情報を公示することを促すべきである。

第三十六条 コンテンツプラットフォーム類のライブコマースプラットフォーム経営者は、本プラットフォームに入居している業者、キャスターの取引行為規範を強化し、ライバーがジャンプリンクなどの方法をとることを防止し、ユーザーをオフライン取引を誘導する行為を防止しなければならない。

第三十七条 ソーシャルプラットフォーム類の生放送プラットフォーム経営者は内部取引秩序を規範化し、ライバーと消費者が合法的な取引プログラムを迂回してソーシャルグループでオフライン取引を行うよう誘導することを禁止しなければならない。ソーシャルプラットフォーム類のネットライブマーケティングプラットフォーム経営者は、ライバーが社交グループを利用して猥褻ポルノショー、販売、賭博、麻薬取引などの違法犯罪及びネットコンテンツ生態管理規定に違反する行為を防止すべきである。

その他業者や利用者に対する規定

第三十八条 ライブコマースライバー管理サービス機構とは、ライバーを育成し、ネットワーク生放送マーケティング活動を展開するためにサービスを提供する専門機関(例えばMCN機構など)である。当該サービス機構は法律に基づいて相応の経営主体の資質を取得し、プラットフォーム規則に従ってライブコマース活動主体と協定を締結し、各方面の権利義務を明確にしなければならない。

第三十九条 ライバー管理サービス機構はライブコマースプラットフォームと協力し、本機構及び契約ライバーが当該プラットフォームに提出した情報主体、登録アカウント情報などの真実、有効性を確保しなければならない。ライバー管理サービス機構は健全な内部管理規範を確立し、相応の資質と能力を持つライバーと契約し、契約ライバーの管理を強化すべきである。契約ライバーの基本素質、現場応対能力に対する研修を実施し、契約ライバーの業務能力と規則遵守意識を高める必要がある。契約ライバーを監督し法律、法規、規則と関連規定及び標準規範などに対する学習を強化しなければならない。ライバー管理サービス機構はライブコマースプラットフォームと積極的に協力し、協力プロトコルとプラットフォーム規則を実行し、契約ライバーの発信内容に対して事前審査、生放送中の監督、事後の違反行為有無確認など適時適切な処置を行い、共に健全なライブコマース活動の生態を構築しなければならない。

第四十条 ライバー管理サービス機関は経営を規範化し以下の行為を禁止しなければならない。
(一)契約ライバーへの不正課金等の不正利益を得ること。
(二)契約ライバーと調印した協力協定を適切に履行しない、あるいは公平さを失ったり、不適切な条件を付加したりするなど、契約ライバーとのトラブルが発生した場合、適切に解決さず、悪影響を与える行為。
(三)契約を履行せずプラットフォーム活動から勝手に撤退するなど、信用を守らない経営。
(四)データ偽造や不正などのライブコマース活動の秩序を乱す行為。
(五)他人の権利を不当に使用し、他人の情報を漏洩し、他人の財物をだまし取り、他人を嫌がらせするなど、他人の権益を侵害する行為。
(六)意図的に管理を怠ったことにより、実際にライブコマース活動に参加しているライバーとその機関が提出したアカウント識別情報とが一致しない。

第四十一条 ユーザーとは、オンライン中継コンテンツサービスを用いて商品又はサービスを購入する組織又は個人、すなわちインターネット中継サービスのエンドユーザをいう。ユーザーはネット中継インタラクティブに参加する時、国家の法律法規とプラットフォーム管理規範を遵守すべきであり、文明的な相互作用、理性的な表現を使用し、プラットフォームを利用して不当な言論を発表し、他人の合法的な権益を侵害してはならない。

その他の規定

第四十二条 ライブコマース活動主体は国家貧困脱却攻略、農村の経済振興などに関与すべく、積極的に公益生放送を展開することを奨励する。公益生放送は法に基づいて商品とサービスの品質を保証し、消費者の合法的な権益を保障しなければならない。公益生放送は規律を遵守すべきであり、国家機関及びその従業員の名誉とイメージを損害してはならない。

第四十三条 中国広告協会は、本規範の実施状況のモニタリングと評価を強化し、規範の実施状況を社会に公示し、自律自治を奨励する。本規範に違反したものに対しては、状況に応じて警告勧告を行い、改善を促し、公開批判を行い、違法の疑いがあるものに対して、政府監督管理機関に法に基づいて調査することなどを要請し、サービス業界の自律、サービス業界の維権、サービス業界の発展を確実にする。

第四十四条 この規範は、2020年7月1日から施行される。

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