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中国のライブコマースに対し規制を強化 ~その1~

2020年6月24日、中国広告協会は「インターネットライブ配信マーケティング行為規範(中国語:網路直播営銷行為規範)」を公布しました。これは国内初のライブコマースによるマーケティング活動に特化した規制で、2020年7月1日より施行されています。ライブコマースに参加する業者、KOLなどのライブ配信者、プラットフォーム経営者、キャスターサービス機関、ユーザー等に対しての規制で、9種類の内容から構成され20種類の行為が禁止されています。

なぜ規制が始まったのか? 

新型コロナウイルスの蔓延に伴い生活は大きく変化しました。3密を避ける生活の中、販売方式も変更を迫られライブコマース業界は躍進しました。ライブコマースによるブランドのPRやマーケティング、市場調査など、これを新たな戦略として参入する企業が増えています。一部広告企業では、ライブ配信によるマーケティングサービスの提供を開始しましたし、企業やブランド広報者も次々と独自にライブ配信を始め、社員が自ら配信者となってきています。

しかしながらトラブルも多々発生するようになりました。例えば誇大広告やKOLによる詐欺行為、アフターサービスの問題、信用システムの問題、違法なコンテンツなどが挙げられます。これらを規制するために今回「インターネットライブ配信マーケティング行為規範(中国語:網路直播営銷行為規範)」が公布されるきっかけとなったわけです。

サイバーセキュリティ法や民法典、他の法律との関係

また、2019年1月1日より「中華人民共和国電子商取引法」、いわゆる中国サイバーセキュリティ法が施行されていますが、同法は主として従来の電子商取引であるEコマース(淘宝など)を対象としており、策定時にはライブコマースを想定していなかったため適用性が低く、プラットフォーム側の責任など非常に多くの問題点が明確に規定されていません。

もうひとつ、最近「民法典」(2021年1月1日施行)が発表され、これにも契約の成立、人格権の保護や消費者権益の保護など、ライブコマースに関する内容が規定されました。そのため、ライブコマースを更に規範化し、その健全な発展を促進するために、中国広告協会は「中華人民共和国電子商取引法」「中華人民共和国消費者権益保護法」「中華人民共和国広告法」「中華人民共和国製品品質法」「中華人民共和国反不正競争法」などの法律法規に基き当該「規制」を制定したのです。

タオバオ内のライブコマース画面。自分でも参加してみました。

中国のライブコマース市場

中国における2019年ライブコマース市場規模は4,338億元(約6兆7,239億円)に達し、2020年には9,000億元(約13兆9,500億円)を超える見通しです。中国のライブコマース業界は主として販売者、プラットフォーム、ライバー(ライブ配信者)、ライバー管理会社(MCNと略称)などが主体で行われています。ライブコマースの形式には、マーケティング型(宣伝のみで購入リンクなし)、業者による直販型、ライバー販売型などとなっています。また、プラットフォームは主に2種類あり、ひとつはタオバオ、拼多多、京東などの従来のEコマースプラットフォーム上にあるライブコマースチャンネル、もうひとつは快手、TikTok(抖音)、微博を代表とするショートムービープラットフォームです。ライバー(配信者)には、KOLと呼ばれるインフルエンサーもいれば、芸能人、有名企業の社長や各地の役人なども自ら配信しています。

このような状況のなか、中国広告協会は国家市場監督管理総局に属する業界組織として、初の「規範」を公布しました。これは、ライブコマースを行う各業者、ライバー(配信者)、プラットフォーム、ライバー(配信者)管理会社などに対し全面的に規範化するものです。

今回は規制に至るまでの背景をお伝えしましたが、次回その2で当該規制の内容をご説明します。

中国のライブコマースに対し規制を強化 ~その2~

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