コロナウィルスの影響で延期となっていた中国全人代が無事終了しました。今年は経済成長目標を明言しないといった例年とは異なる全人代ではありましたが、アフターコロナを乗り切りV字回復のための政策が絵に描いた餅とならないような対策を打ち出しています。
『新インフラ建設』 実は新しく出てきた言葉ではありません。2018年12月の中央経済工作会議ですでに提唱されていました。今までのインフラ投資は「鉄インフラ投資」であり、鉄道や空港、道路建設がメインであったのに対し、『新インフラ投資』は情報デジタル化のための投資であるとしていました。
その後2019年には「次世代通信インフラ建設の強化」として正式に政府活動報告の中に盛り込まれ、今年4月にその細分領域を発表したのです。これは中国製造2025の代替であるとの話もあります。
第四次産業革命がすでに始まっている中国
では、その細分領域とは何か。
このように5G、自動運転、ブロックチェーン、AI、ビッグデータ、IoT、EVと深く関わりのある投資項目であり、この技術を発展させると同時に周辺インフラにも投資していく姿勢が見て取れます。これは第四次産業革命そのものですね・・・。
各地が即時に反応。その投資総額は・・・・
中央が公言したと同時に各地方政府は我先にと投資計画を発表しました。北京、上海、江蘇、福建、河南などなど、2020年4月時点で13省市、その投資総額なんと33.83兆元(約541兆円)!
WeChatのテンセントなどは、たった1社で5000億元(約7兆5000億円 今後5年間の投資予定額)をこの『新インフラ建設』に投資していくと発表しています。他の民間企業でいうと、百度(バイドゥ)は自動運転ジャンルで、中国EC業界2位の京東は企業や行政機関のデジタルトランスメーションやスマート化、アリババは2000億元(約3兆円 今後3年間の投資予定額)を投じクラウドやサーバーをブラッシュアップしビッグデータセンター関連を担うようです。
さて、僕が住んでいる上海はどのような内容で発表したのか。それを下の資料のようにまとめてみました。
12のプロジェクトからなる計画なのですが、上海市としては独自ブランドや独自スタートアップを出そうとしているようですね。上海市発の有名なIT会社は実はそう多くなく、今のところ動画プラットフォームのビリビリや中国EC業界第3位で、2位の京東を抜きそうな勢いの拼多多などだけ。この上海ブランド確立のために今後は積極的に外資の誘致もしていくとのことです。
今後3年でどのくらい世界が変わるのか。この第四次産業革命の真っ只中にある中国でそれをこの目で直に見ることができる・・・と考えると軽い興奮を覚えます。今後の動きから目が離せません。