数日前にニュースになっていたハルビンでのクラスター。3月19日にアメリカ留学から帰ってきた女性が、最終的には大量の濃厚接触者と感染者を出した話です。これを読むとこの新型コロナウィルスの感染力の凄まじさに驚きます。
この留学生は韓さん(仮名)22歳。中国ではすでに海外から戻った場合でPCR検査が陰性であれば自宅またはホテルでの隔離が要請されていたので、陰性だった彼女は自宅にて14日間の隔離生活を送ります。真面目な彼女はちゃんと自宅から一歩も出ることなく過ごしたそうです。また、自宅での隔離期間中、衛健委員の先生が3度PCR検査と血液検査(三度目は隔離期間終了1日前)を実施しましたが共に陰性だったそうです。
これを書いてる4月24日現在、全ての外国人(グリーンカード保持者以外)は中国に入国出来ません。しかしながらこの時はまだ重点国家(当時は日本・韓国・イラン・イタリアなど)以外の国から帰ってきた人は陰性であれば自宅での隔離生活が認められていたのです。
無事に14日間の隔離生活を終えた彼女は普通に生活を始めます。その後、彼女が住むマンションを起点に異変が起き始めました。
親密者同士の感染が複数確認されたため、衛健委員は中国ならではのQRコードから取得している行動履歴のビッグデータをもとに調査を始めました。その数なんと17325人。そのうちすでに医学的観察が不要になった人が16493人、まだ経過観察が必要な人が832人いたそうです。その中に彼女と同じマンションの同じ棟に住む人がいたのです。しかし彼女らは顔見知りではありません。
不幸はまだ続きます。87歳のご老人が脳卒中で病院に運ばれました。幸い一命はとりとめたのですが、その病院では院内感染が始まります。医師1名と看護士6名を含む54名にもなりました。実はこのご老人も、アメリカ帰りの留学生が持ち帰ったウィルスで感染していたのです。
最終的に感染経路は特定されました。留学生の女性からその家族や彼氏と同時に、同じ棟に住む別の人へ感染していきます。それから、その人たちと食事を共にしたそれぞれの家族や友人、恋人に・・・。その中に87歳のご老人も入っていたのです。ご老人が入院してからは、彼と部屋を共にしていた他の入院患者、見舞いに来た人、医療関係者など、ウィルスは凄まじい勢いで伝染していったそうです。
同じ棟に住んでいるというだけでなぜ感染したのか。まだ詳細は確認中ですが、階段の手すりやエレベーターのボタンや壁などの可能性が高く、また、マンションのシャワールームの構造上湯気など湿気を大量に含んだ排気(エアロゾル)が他の階に行くようで、その可能性も捨てきれないとのこと。どこまで感染力が強いのか。
今回のウィルスの特徴は
- 若い人がキャリアとなっており無症状
- 海外から帰ってきた人がキャリアとなった
- PCR検査を複数回実施しても陰性と出る。
- 検査陰性後から発症までに時間がある
- 濃厚接触者でなくとも感染する(同じマンションの住人)
- 感染のスピードが早い
重症者及び死亡者が出なかったことは不幸中の幸いでした。といえども2万人弱の人が検査と隔離生活を余儀なくされ、50名以上の方が感染するという、完全なクラスター状態です。
もちろん、留学生の女性には全く罪はありません。彼女もこうなるとは全く予想出来なかっただろうし、実際に複数回に及ぶ検査でも陰性だったのだから。感染した人もしくは感染が著しかった場所から戻った人を責めるのは完全に間違いです。誰も好き好んで感染したりしないですもんね。
しかしながら、やはりウィルスの特性を正しく理解し効果的な防御策を取るのが一番重要であることを思い知らされた記事でした。また、感染者が出た場合にその行動がトレースできること、感染者と濃厚接触者は確実に隔離し症状を見極めることが必要です。
日本にいる皆さんにはこんな風になって欲しくない。
皆さん、マスク装着は必須、手洗いはこまめ過ぎるほどしましょう。手が荒れる方もいるかと思うので、ハンドクリームなども準備しておくと良いカモ。そしてうがい。うがいはうがい液を使うより水道水の方が大事な菌までも殺さないので結果良いそうです。あと、マスクの表面は触らないこと。ウィルスが着くとしたら、まさにマスクの表面です。
一人一人が正しく防御すれば、必ず乗り越えられると思います。僕がいる上海でもかなり厳しい規制がひかれ、市民は必ず抑え込むという気概のもと我慢の日々が続きました。
結果、今ではマスク必着以外はほぼ普通に生活出来るようになりました。日本に一日も早く同じような日が来ることを毎日願ってます。僕もやっぱり日本人ですから。