ここ最近上海は通常の生活が戻ってきました。どこに行くにもマスクをしなければならないのと、どこに入るにも体温を測られる以外・・・・。ずっと上海から出なかった僕がどんな風に過ごしたか、備忘録もかねて残しておこうと思います。
1月の初旬には武漢あたりで何やら正体不明の肺炎が流行ってるらしいという話は聞いてました。コウモリから発生した病気らしいことも。でも僕を含めた友達すべてが、まだその後に起こることを全く想像できない状態でした。変なものは食べない方が良いね、くらいの話題が出るくらいだったと思います。
23日に武漢市の封鎖が発表される直前、上海ではまだいつもと変わらない春節前の雰囲気で会社の年会があったり、友人と忘年会で飲んだりと特に変わった様子は感じられない状況でした。僕も会社の年会では子年にちなんでネズミーではなくディズニーの耳を付けさせられたりと、全く緊張感が無かった写真が残ってます。
いよいよ春節に入る直前の22日、まだ感染者が出ていない地域は上海周辺で江蘇省のみとなりましたが、人数が多いわけではなかったので、やはり危機感があったわけでは無かったです。マスクが必須になっていたので、ある程度ストックしておいた方が良いよねとか、上海のどこどこで感染者が出たらしいよ、くらいの話をしていました。ただ、この日の夜も忘年会があったので食事に行きましたが、客はほとんどおらず、ほぼ貸し切りでした。ただ単に僕が鈍かっただけなのかも。
でも翌日23日には武漢が封鎖されました。路上には武装警察がおり同じ中国にいながら、どこか遠い国で起こっていることを画面を通して見ているような感覚でした。
春節休暇が始まった初日、新聞で北京の万里の長城、上海ディズニーランド、豫園もすべて閉館し、春節中に開催予定だった全てのイベントも中止になったと報道されました。中国だから結構大げさにするんだなと思った記憶があります。この各地閉鎖騒動で、今年の誕生日はどこにも行かず家で普通に過ごすことになりました。中国のテレビやSNSではすでに旅行で日本に行っている中国人が日本に着いた途端にマスクを外したり大量に買い占めたりすることを報道し、たくさんの友達が中国の恥だと嘆いていました。この日日本では国内3人目の感染者が確認され、同月18日からまさに武漢から旅行で日本に来ている人でした。
春節期間は家で普通に過ごすことになりそうな予感があった僕は、連休前に大画面テレビを購入しておきました。誕生日当日に届いたので自分でセッティングし、ファーウェイ独自のハーモニーOSシステムを研究していたら1日が終わった・・・・という毎日を過ごしました。レストランもショッピングモールもこの時にはほぼ営業しなくなっていました。
春節四日目の1月27日、春節期間を2日間延長する通知が届きました。同時に上海市の会社は2月9日まで出勤しない(在宅はOK)こと、学校は2月17日まで休校とする通知がきました。この段階でも多くの人は休みが増えた!と言っていることが多かったように思います。ただ、外の店はほとんど閉まっていたので、ヒマを持て余す人がほとんどで、ネットテレビを見たりゲームをしたり過ごしていました。
2月9日や10日から出勤と決まったのですが、その前の1週間は在宅勤務も可の期間です。会社のパソコンを使用して仕事をしている人で、自宅へ持って帰っていない場合仕事ができません。この頃から一度会社へ行って私物とパソコンを取りに行きたいと言う人、出勤開始となってもすでにマスクが無いと言う人が大勢いました。また、薬局に行けば一人10枚までマスクが買えるようになったのですが、日本と同じく小競り合いが起きたりすごく並んだりで、上海も戦々恐々としてきた感がありました。
2月1日、春節明け初めて会社へ行きました。ビルに入る前に検温をし身分証明書の提出とともに名簿に連絡先等を記載しやっと入館できる状態でした。この時すでに薬局で薬を買う場合も実名登録が必要になっていて、色々なところで追跡管理(トレース)の実施が始まっていました。世間ではソーシャル・ディスタンシングも当たり前になっており、人との間隔を空ける光景がどこでも見られました。
僕はここ上海でも車を運転するのですが、もうこの時は走ってる車も少なく人もまばら。でも営業しているレストランやカフェは普通にありました。でも必ず検温をし実名登録をして手を消毒(場所によっては靴の裏も)してから入店できる状況でした。所々でマスクをしていない人が入店できず、マスク買えないんだから仕方ないじゃ無い!とガードマンと言い争う場面にも何度か出会しました。
2月3日節分。今年も例年通り恵方巻を食べてから出かけました。出先で失業保険や社会保険の優遇政策の通知を受け取り、政府も収入が減る人に対し様々な対策を出してきているのが見られました。この日は5G回線用のSIMカードを買いに通信会社の営業店に行きましたが、いつもめちゃくちゃ並ぶ営業所も人はガラガラ。マスクと消毒、実名登記は必須。ここでもおばちゃんとガードマンがマスクで口論しているのを見かけました。この目に見えないウィルスが、今まで当たり前だった日常を奪っていく、そんな事をぼんやり考えていました。
2月4日は我が社初の自宅からテレビ会議。20数名に及ぶ部長以上の社員が参加しあーでも無いこーでもないと議論。自宅のネット環境とハードの性能に相当左右されることを痛感。自宅のネット回線が100Mなど早いのを契約していながらWifi機器が昔のもので思ったスピードが出ない人、携帯が安い携帯でマイクの性能がテレビ会議にそぐわないなど、今まで普通にネットを楽しいんでいる分には発生しなかった問題がテレビ会議を自分のネット環境でやるとなっただけで色々と出てくるもんだなぁと感じました。
2月8日、日本本社からのマスクが届きました。従業員に渡すようにと春節前に手配していたのですが、本日やっと届きました。同時に、この日から湖北省とその近くから戻った者もしくは湖北省とその近くへの渡航歴がある者は自宅での集中隔離が必要となりました。また大型の会議や会食などが禁止され、オフィスや自宅の窓を1日最低2回開けること、消毒作業を2〜3回実施すること、毎日検温を実施し記録することなどクラスター防止の政策が次々に出されました。たくさんの人が上海に戻ってくることの対策です。また、レストランなどを含む全ての会社が復工申請が必要となり、申請が認可されて初めて再稼働できる状況となりました。
空気感染のリスクを減らすため、中国全土にオフィスビルなどのセントラルエアコンは停止しなければならないと通達が出ているためオフィスが寒い!みんなダウンを羽織っての勤務です。僕はこっそり足元に置けるヒーター(140元=約2,240円)を買っておいたので何とか耐えれますが、これじゃあ本当に風邪ひいて熱でも出て、より面倒なことになりそうです。でも文句を言わず真面目に働く中国の人々。日本だったらネットでメディアが煽りまくりで大騒動になるんだろうなぁ。
2月11日、上海でちゃんとした就業証(働いて良い許可)が無いと上海市には入れなくなりました。公共トイレも封鎖。知らずに入った人が出られなくなるなどのお笑い写真も出回りました。。。。ヒマを持て余す人が多くなり、この日は地球上の引力バランスが最も良い日で、普段は立たないホウキ(掃除する時使うあれです)が立つとアメリカのNASAが発表した!と壮大なデマまで広まり、SNSにはホウキを立てた写真を投稿する人で溢れました。ホウキなんてすぐ立つじゃん・・・・・。
2月13日、日本の外務省から中国からの一時帰国を早急に検討してとの通達が。たくさんの中国の友達から「帰らなくて良いの??」と聞かれました。が、こちらで仕事がある僕が従業員を置いて帰るわけにもいかず、また上海のクラスター防止の厳格さを見ても安全だろうと思い、帰国の検討は全くしなかったのです。この時日本で確認された感染者は25人。中国では約63000人となっていました。
2月14日、上海市政府より厳格な通達が出ました。マンションの出入り口を一つとし出入りをチェックするガードマンを置く。必ず検温をし住民以外は入れない。自宅での隔離観察が必要な家は必ず封鎖し、出入りを監督する。公共交通機関も検温をし人の移動が記録出来る体制にする。出勤時間もフレックスタイムにし他人との濃厚接触を避けるなど。マンションの入り口が減って遠回りになったり出前も入り口まで取りに行かなければならず、宅配も入口の棚に置いてあるので取りに行くなど、少し面倒なことが増えました・・・。
この頃から湖北省の状況が好転してきました。新規患者の増加率が減ってきて伝染のコントロールが出来ているのが数値で読み取れるようになっていました。上海ではまだいろんな場所が開店していませんでしたが、それでも頑張って営業を続けている店、店舗での提供から出前に戦略を変えた店などみんな努力して続けているのが感じられました。
後半はまた別の機会に書こうと思います。