上海はここ数日で通常業務に戻る会社営業するレストランが増えて来ています。2月24日の朝は交通量が通常の90％まで戻ったと報道されています。（写真は延安高架の虹許路付近の2月24日の様子）
徐々に通常の生活に戻る中で交通量が増えると同時に交通事故が増加する可能性があるとため、上海市では市民の健康と安全を保護するため事故処理過程中に人が接触する機会を減少させ、ウイルス伝播リスクを低減する施策を発表しました。
日本では交通事故の届出は警察に、過失割合や賠償額の決定は当事者間もしくは保険会社が代理で行うことが通例ですが、実はアジアの中でも日本だけが特殊であり、他の国では過失割合の決定も警察が行います。また、過失割合も日本のように5％刻みで決めるなんて超難解なことはなく、お互いが悪い5：5か、片方が一方的に悪い100：0か、当事者間で示談する場合によく決められる自尊自弁（自分の車は自分で直す）くらいです。損害算定の方法も非常に簡素化されており、迅速な処理が可能なだけでなくAIによる自動化がしやすいなどIT時代に見合ったメリットが多々あります。
日本の損害算定は高度すぎて、自動化にはかなり苦労する気がしますが・・・・。
～ソーシャルディスタンスを維持する事故処理方法とは～
交通事故が発生した場合、事故現場状況の保存や相手方との連絡先交換、警察の現場臨場から保険会社による査定まで様々な人が処理に当たります。そのため人と人の接触機会が増えウィルスの拡散が起こる懸念があります。そこで上海市公安局交警総隊は、疫病発生期間中の道路交通事故処理について「事故車両を厳格に制限する」「ネット上での事故処理」「自主訪問サービス」などの10条の特別措置を打ち出したと伝えています。
この施策により交通事故が発生時も極力人との接触回避が可能となり、またネット上で対応するため必要な処理時間も短縮されることになります。詳細な内容は以下の通りです。
【事故車両の差し押さえを厳重に制限する】
交通事故の処理において，必要以外は原則として車両を抑留せず，事故当事者が移動することへの影響を減少させる。（昔は事故後警察官が現場を見て過失割合の判断等をするため車両の移動は極力禁止されていました）
【ガイドラインに基づき処理する】
「車両損害のみで人身事故が発生していない」という交通事故において、事故当事者は「快処易賠」、「交通12123」、「上海交通警察」などのアプリでオンライン処理を行うように推奨する。警察の現場検証の際には，当事者にオンラインでの処理を優先的に指導する。当事者は携帯電話を通じて事故処理工程の全てと事故賠償手続きを行うことができる。
【ウィーチャット上での処理】
事故処理担当の警察と事故当事者もしくはその代理人はウィーチャット上のグループチャットを作成し、その中で事故関連資料、権利義務告知、調査証拠の公開、損害賠償調停などの処理を実施する。
【テレビ電話での事情聴取を展開】
ウィーチャットでのテレビ通話で当事者や証人を聞く。ウィーチャットが使えない人については、電話と共に同時録音方式にて対応する。
【ウィーチャットグループの中で証拠を公開する】
道路交通事故認定書や道路交通事故証明書を作成する前に，法律に則した事故当事者間公開調査を実施して証拠を取得する必要がある場合には，法律規定を参照しウィーチャットグループ上で事故資料を収集する。
【オンラインで交通事故の損害賠償調停を行う】
疫病発生期間中、公安機関の交通事故損害賠償調停はウィーチャットテレビ会議を通じて実施する。
当事者での面談、事故審理所での処理を実施せず、人員の集まりを避ける。
【事故処理完了手続きをオンラインで受け付ける】
疫病発生期間中、交通警察総隊は道路交通事故の再核申請用に携帯電話の専用線と微信アカウントを開設し、当事者及びその代理人がオンライン上での申請が出来るようにする。
【法律文書のオンライン上での送達】
郵送で法律文書を送付する場合，民事警察の事故処理担当はまず写真を撮りウィーチャットで送信する。同時に当事者へ郵送時間や送付先を通知するが、防疫期間中にわざわざ郵便機関に書類を受け取る必要がないようウィーチャットで送信した書類は事故処理完了手続きにおける原本資料とすることができる。
【警察による訪問サービス】
当事者が疫病管理のため集中隔離されたり在宅隔離された場合、尋問調書の作成、法律文書の配達など、事故当事者と直接接触する必要がある場合、民事警察の事故処理担当が自主的に訪問する。
【事故処理場所の防疫作業を確実に行う】
事故処理場所の消毒、関係者の体温検査などの防疫作業をしっかりと行う。関係する人数を限定し、人員の立ち入りを厳格に管理し、屋外での手続きを実施する。
オンラインで処理出来て迅速。さすが上海市！と思いましたが・・・・。
事故処理はやはり面倒なもの。事故なんか起きないに越したことはないですよね。