安倍総理の緊急事態宣言を受け、日本でも在宅勤務が必要になったり不要不急の外出が禁止になったり学校が休みになったりと、皆さん大変な思いをされていることかと思います。
日本より先に流行したその新型コロナウィルスCOVID-19の影響は、中国の学生にも及んでいます。
今までの学校の授業は大勢が集まり一つの教室で受けるものであったため、万が一感染した生徒がいた場合容易に感染伝播が起こります。故に中国の教育委員会は3月末まで休校するよう通達を出したわけですが、学校に行けないということは、学生が学べる機会を奪ってしまう懸念がありました。
そこで上海市教育委員会は「停課不停教、停課不停学(授業止めても教育と学びは止めない)」として基礎教育、中等教育と高等教育に対しそれぞれオンライン教育指導意見を制定し、各方面の力を総動員してオンライン授業の構築を推進しました。
例えば基礎教育については、学年ごとに学ぶ内容や授業の長さが違うなか、各学科千人以上の優秀な教員が教育委員会課程基準に基づいて各課程を録画しました。
これらの授業はテレビ放送を中心に,ケーブルテレビとIPTVを含めて12チャンネルに分かれており,小学1年生から高校3年生まで各学年1チャンネルあり,初回放送のほかに再放送も予定されています。
※家のテレビを撮った画像なので粗くてすいません・・・・
また、テレビを視聴できない学生は、パソコンやタブレット、携帯電話など様々な端末での受講もできるとしています。
関連サイトでは授業の動画ダウンロードも対応しているようです。
受講後,学生は様々なプラットフォームを介して,本学教師とのインタラクティブなコミュニケーションを行うことができるため、授業後の質問などにも対応できます。
各学校は独自にオンラインでの授業をどのように展開するかを模索し、各IT企業もそれを援助しています。
その一つの例として清華大学の取り組みを紹介いたします。
清華大学の取り組み〜オンライン授業に向けて各種の準備が完了〜
清華大学の公式微信アカウントによると、新学期から始まるオンライン上での授業を円滑に展開するため、学校側は教師にオンライン授業で使用する「3つの装備」を支給したようです。それは・・・・
手書きパッド、手書きペン、ネットカメラ。教師たちは積極的にオンライン授業に向けて各種の準備を完了しました。
正式に開講する前に、教師たちはオンライン授業の方法をテスト&エラーの繰り返しで構築したようです。
ある先生は事前にクラスの学生と実際に会って、オンライン授業のテストを繰り返し内容をブラッシュアップ。
先生の多くは自宅やオフィスなどにライブ配信が出来る部屋を自分で探し、授業を中継するために必要な設備を導入したそうです。
より質の高い授業を確保するための「十大神器」とは
講義用のソフトとして、ビデオ会議+雨課堂(RainClassRoom※)のミックスで使用。
※雨課堂とは清華大学が開発したオンライン授業アプリで、パワーポイントをウィーチャットアプリ上に表示したり生徒に課題を出したりと授業に必要となる様々な機能を備えているもの。
- タッチペンやタッチスクリーン機能を備えたタブレット、手書きペン機能があり、ビデオ会議アプリ内で使用できるホワイトボード機能が便利。数式を用いる必要がある数学の先生には特に適している。
- 登下校チャイムを定時に流す音楽アプリ(清華のベルは“シルニ練習曲”Ope.599 No.60)。
- 授業の進行度合いを見ることが出来る大きなフォントの時計アプリ。
- Wifiルータは、802.11 acがネット速度を満たすことができる。
- 予備案。4GのCPEルータは,家庭用光ケーブル回線が遮断した場合に対応し,隣にはLANポートがあり,イーサネットに接続することができる。
- 携帯電話は学生側がビデオ会議アプリに入った状況を確認でき、状況を随時知ることができる。
一般にネットワークが良い場合には,PPT接続は1―2秒の遅延がある。そのため教師は注意が必要であり,ネットワーク条件が一般的であれば数十秒の遅延がある可能性があるため,さらに注意すべきである。
学生がより分かりやすい授業にするためとてもお勧めする装備である。 - 予備案。もう一台の携帯電話はライブチャットアプリに接続し、テレビ会議アプリが使用できない場合に対応する。
ライブチャットはビデオ会議より多くのデータ通信量を節約できる。 - 予備案。アナログのホワイトボード。
- 予備案。UPS電源、停電時に対応。
- 雨課堂にアクセスするための携帯電話がもう一台あるが、今この写真を撮っているので写っていない。
その結果である「十大神器」がこちら。
清華大学以外にも、北京本科高校や南京工業大学が雨課堂アプリやオフィスウィーチャット、アリババのDingTalkを使用しオンライン授業を展開するそうです。
また、中国石油大学(華東)や山東大学は自宅にWi-Fi回線がない学生に対し2月の授業で使用する30Gの通信量を無料で与えたそうで、中国の教育に対する熱意がよくわかります。
さて、日本はどのように対応するのでしょう・・・・?