感染者との接触を調べるアプリ「密接接触者測定器」が話題に
中国国民が新型コロナウィルスの蔓延を懸念する中、IT技術を用いて感染者との接触があったのか否かをすぐに調べられるアプリが登場し話題になっています。
このアプリは「密接接触者測定器」と呼ばれていますが、国務院弁公庁電子政務事務室と国家衛生健康委員会及び中国電科が連合して設立した疾病予防管理ビッグデータ攻略チームが、「インターネット+監督」システムのデータベースを利用して開発されたもので、最初のリリースから数回のバージョンアップを経て今の精度となったようです。
利用者は自分の氏名と身分証明書番号を入力するだけで感染者との接触があったのか否かを調べることが出来ます。
また、国全体としてもウィルスの伝播経路や封鎖が必要な地域の把握に大変役立っているようです。
アプリでの照会人数は1億人以上
アプリの中には最新情報・感染者分布図・医療機関情報が閲覧可能となっており、登録をすることで簡単な診察も受けられます。
これは自分の体調が悪い時に新型コロナウィルスに感染しているかどうかを判断するひとつの材料として有効に活用するのが良いでしょう。
2月11日の時点でこの「密接接触者測定器」の全国照会人数は1憶人以上となりました。
このようなアプリの使用時に気になることは、検索結果が正確なのかどうかということと個人のプライバシーがどこまで守られるのかということですが、その問題についてもこの疾病予防管理ビッグデータ攻略チームは以下のように答えています。
情報の正確さについては、国家衛生健康委員会、交通運輸部、国家鉄道グループ会社と民航局などの対種類のデータを元に確定診断患者の行動履歴とマッチングすることで接触があったか否かを判断していると発表しています。
中国では地下鉄やバス、タクシーを除く交通機関(飛行機、鉄道)に乗る際は個人の身分証番号を使用しチケットを購入するため、このマッチングは可能でしょう。タクシーや地下鉄についても個人が使用するアプリが実名登録されていれば、このシステム上でのマッチングも可能になるはずです。
データが相当数蓄積され、ビッグデータとして分析が可能になりAIとの組み合わせも出来るとなれば今後どの地域での発症が増えるのか予想も可能となるため、先回りして医療機関の構築や消毒作業などを実施することが出来るようになるはずです。
人口も多く人の移動も多い中国では相当有効な手法であると思います。
プライバシーの安全性は「非常に高いレベル」
次に個人のプライバシーについて、中国工程院の院士である呉曼青氏は「中国の「ネットワーク安全法」に定められる「個人情報保護のためのビッグデータ利用に関する共同管理作業に関する通知」の要求を完全に履行しデータの管理を全面的に強化、データの収集から保管管理、使用については全て中国電科のクラウド上にあるプラットフォームで扱うと説明しています。
中国電科のクラウドは中国政府軍向けのものを提供しており、その安全性は非常に高いレベルであるとしています。
疫病に対する対応にもITが持つ力が使われています。
今回の新型コロナウィルスCOVID-19への対応が一刻も早く収束することを願うと同時に、このIT応用で培われるノウハウがいずれは他国でも利用される日が来ると確信しています。